ザ・ビーチ (2000/02/11) 監督:Danny Boyle 原作:Alex Garland 出演:Leonardo DiCaprio, Virginie Ledoyen, Guillaume Canet 時間:119分 評価:★★★★☆ Amazonで詳細を見る |
『ザ・ビーチ』は、現代の秘境とも言える南国の楽園を舞台に、文明を離れて生きる人間たちを描いた人間ドラマ。
導入
アメリカ人青年リチャード(レオナルド・ディカプリオ)は、刺激を求めてタイのバンコクに来た。南国に来ても清潔なホテルに泊まり、テレビを観て過ごす。そんなアメリカナイズされた旅を嫌い、馴染みないことを行い、不潔な安宿に泊まった。
チャーリーはそこでダフィ(ロバート・カーライル)に出会う。キチガイ染みたその男は”ビーチ”のことをリチャードに教える。
巌壁に囲まれたラグーンにあるビーチ。そのビーチは美しく、そして五感を刺激する。それを見たものは、感情を抑えたくても快楽が身をほとばしる。
しかしそこにたどり着いたものは数人しかいない。そこに行ったのは、文明にスポイルされた観光客などではなく、理想を持った男や女たちだ。そしてダフィもまたそこに行ったんだと…。
しかしダフィは皆は言った。ビーチの守るためにここをでていこうと。だがそれを聞くものはいなかった。
明くる日リチャードは、部屋の扉に手紙が見つける。手紙にはビーチの場所が記した地図があった。それを見たリチャードは、ダフィの部屋に行く。しかしそこには、既に息絶えたダフィの体があるだけだった。
リチャードはビーチに行くことに決める。自身が望んだ冒険を求めて…。
しかしリチャードには不安や、一人旅への寂しさがあったのかもしれない。そこで、知り合いとなった隣の部屋のフランス人のカップル、フランソワーズ(ヴィルジニー・ルドワイヤン)とエティエンヌ(ギヨーム・カネ)を誘う。
そして3人は、冒険を求めてビーチへと向かう…。
電車を乗り継ぎ、船を乗り換え、彼らはビーチへと向かう。
その旅の途中、リチャードは地元の若者と酒を酌み交わす。そこでリチャードはビーチの話をまたもや聞くこととなる。
そんな一夜限りの友人となった彼らにリチャードはビーチの複写を残す。それは、噂話を広げていく旅人としての本能か、それとも未知の世界へとおもむく不安のためだったのかもしれない。
しかしそれは、後に禍根を残す行為となる…。
以下はネタバレ注意。
あらすじ
リチャードそしてフランソワーズとエティエンヌは、ビーチにたどり着く。そこには、ビーチに集まった者たちから成るコミュニティがあった。彼らは、そのほとんどを自給自足で生き、ときおり本島に渡り、大麻を売った。そこはまさしく楽園であった。コミュニティのメンバーは、魚や果実を獲って暮らし、その豊かな島の恵みは尽きることのないように思えた。そしてビーチで遊び、夜には火を焚き、踊り歌った。
いつしかフランソワーズはリチャードを愛するようになり、リチャードは幸せの時を迎える。しかし小さいコミュニティで隠しおおせることはできず、エティエンヌとの間には確執が残る。
しかし文明を離れた彼らに危機が訪れる。魚を獲りに行った二人がサメに襲われたのだ。一人は死に、もう一人は生き残った。しかし、後遺症が残った彼の存在は、コミュニティに影を落とす。
ビーチの存在は秘密であり、医者を呼ぶことはできなかった。しかし彼は苦しみ続けた。その呻き声や痛々しい姿を傍らに、皆は快楽に身を任せることはできなかった。そしてとうとう彼は、コミュニティの住居から隔離されてしまうのだった。
リーダーのサル(ティルダ・スウィントン)の指名で、リチャードは本島への買い出しに向かうことになる。久々に触れる文明に懐かしさはなく、ビーチへと早く戻りたい気持ちがリチャードにあった。
しかしリチャードはそこで、あの時の若者たちに出会う。ビーチの地図を渡した若者たちに。そこでリチャードは、ビーチの存在を否定した。しかし否定すればするほど、大事なものを隠しているような、独占しているような印象を彼らに与えるだけだった。
リチャードとサルはビーチに戻る。幸せの時が再び戻ったかに見えた。しかし、ビーチに徐々に姿を見せ始めた観光客の存在によって、コミュニティは崩壊への道を進むこととなる…。
感想
楽園への冒険、そして楽園での暮らし。それはエキサイティングで、日常に生きる私達の中に羨望の念を呼び起こす。しかし同時に、この物語には、初めから完璧な楽園などないことを表現するための伏線がいたるところに散りばめられている。ダフィの言葉や、女一人の三人の旅、そして残してしまった地図など。それらは、嫉妬や欺瞞や裏切りを呼び起こし、楽園を崩壊させる。
これらの要素は、幸福の場面でありながらも、本作品を観る者の心に不安と居心地の悪さを呼び起こす。
舞台について
本作ザ・ビーチは、タイの南部にあるピーピー諸島のビービー・レー島のマヤベイを舞台にしている。そのビーチは、映画にあるような完全に隔離されたラグーンではない(映画ではCG処理している)が、美しく素晴らしい海岸である。【ウィキペディア:ピーピー諸島】サウンドトラック
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