リミット (Buried)

リミット
(2010/09/24)
監督:Rodrigo Cortés
脚本:Chris Sparling
出演:Ryan Reynolds
時間:95分
★★★☆☆
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スペイン制作の映画『リミット』は、実質的な登場人物1名、全編が木の棺の中だけで展開するという凄まじい設定のスリラー。



あらすじ

ポール・コンロイは暗闇の中で目覚める。口は布で、両腕は縄で拘束されていた。手元にあったジッポーを点けると、そこは狭い木棺の中だった。

口の布はすぐに取ることができ、腕を拘束する縄も解くことが出来た。しかし助けを叫んでも何も反応は無く、壁は押してもビクともしなかった。棺は地下に埋められているようだった。

その時、聞き慣れたブブブという音が聴こえる。棺に携帯電話があったのだ。足元にあった電話を引き寄せるが、手に取った時には電話は切れていた。

すぐにアメリカの警察・消防に繋がる「911」に電話をかけるが、ポールの居場所はイラクであり、アメリカの緊急電話の担当者にはどうすることもできなった。

続いて妻や友人に電話するも皆、留守番電話であり、すぐにポールのために動けるものはいなかった。

ポールは番号案内に電話をかけ、FBIに電話を繋げることに成功する。そこでポールは自分が生き埋めになった経緯をFBI捜査官に語る。

ポールがイラクに出稼ぎに来た民間人の運転手で、物資の運搬中に襲われ、気がついたら木棺の中だったという経緯を。

ポールはその捜査官に、携帯電話のGPSの追跡はできないのかと尋ねるが、イラクの携帯電話を追跡することは難しいようだった。

そしてその電話も、電波が弱まり切れてしまう。

愕然としたポールだったが、木棺中を這い回り、電波が強い位置を見つけ、自身が所属する会社・CRT社に電話をかける。

しかしその電話はたらい回しにされ、担当の人間も不在だった・・・。


感想

テロリストに生き埋めにされ、携帯電話でFBIに電話するも、テロリストと交渉しないというアメリカの方針のもとでは、そのテロリストを拘束し、埋めた場所を吐かせなければどうにもならない。

雇い主であるCRT社に電話するも、ポールの家族への賠償金支払いを嫌がるCRT社に、難癖をつけられ解雇される。

そんな、地下の木棺に閉じ込められている状況の人間に対する、あまりにも冷徹な社会の対応に愕然とする。

しかし社会にとっては、ポールはすでに死んだ人間であり、社会はポールの死の影響を可能な限り弱くしようと動き、そこには絶望の淵にいるポールへの思いやりなどは微塵もない。

しかしそれは、誰が悪いわけでもない、社会自身の自己防衛的動作であるように思えた。
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